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IPEの風 2/26/2007
人類の多くがますます「ギデンズの叔母さん」のようになれば? たとえJ.ナイが恐れるような未来に対しても,果敢に挑戦するかもしれません.
鳥インフルエンザのパンデミック(地球規模の感染爆発)について,アジア南部が発生源として最も恐れられています.インドネシアだけでなくトルコでも,日本やイギリスでも,破壊力と感染力を増した,潜伏期間の長いウィルスが,野鳥などを経て広がっています.今やグローバリゼーションによって,感染爆発がドアのすぐ外に待ち受けています.
市場の圧力は,どこまで正しいのか? さまざまなファンドがもたらす資本主義社会の福音を,「見えざる手」や,「アメリカ帝国主義」と同じように,人々は恐れながら,頼り始めています.「ハゲタカ」,「バッタ」,「ヤンキー・ゴー・ホーム」,・・・「円キャリー・トレード」.
中国とインドが参加した世界における「新しい自由貿易」を,ヨーロッパにおける経済・企業の再編過程として描いたThe Economistの特集記事に注目しました.自由貿易とグローバリゼーションとの融合・転換はうまく進むのか? あるいは,資源や領土の争奪,ナショナリズム,人種・宗教紛争が頻発する世界に向かうのか?
北朝鮮の核放棄から,難民救済,朝鮮半島再統一へ向けて,6カ国協議を拡大するときです.日本政府も拉致家族だけでなく,北朝鮮の人権抑圧そのものを糾弾し,すべての難民救出を支援する計画に参加してはどうでしょうか? 金正日体制が崩壊しても,難民流出を阻止する必要はないし,統一後の経済復興に協力する,と説得できるでしょう.
ロシアとイランを見れば,今も,核と石油と国際秩序が結びついていると分かります.世界経済や政治秩序を,民主主義や共存・協力に向けるには何が必要でしょうか? 日本は,トヨタ,ゲーム,アニメ,・・・あるいは自衛隊で,それを模索しています.
ジェノサイドやエスニック・クレンジングが起きる恐れは高くなっています.フットボール・フーリガン,移民排斥や襲撃,国境・市街を隔離する壁,石油を奪い合い,メディアにはプロパガンダ,核処理や金融センターを奪い合い,市場と雇用を破壊する.それは健全な競争や調整過程,相互支援と協力関係によって解決できます.あるいは,パンデミックを迎えたワクチンの独占,国境封鎖,金融危機と市場閉鎖,空港や港湾の閉鎖,壁を越える難民,ボートに群がる難民,飢餓や暴動を軍が鎮圧する各地の極限状況が,あるときから,爆発的に広がります.
日曜日の朝,書評を読みながら,イラク帰還兵の2割近くがPTSD(心的外傷後ストレス障害)に苦しみ,日本の自衛隊員も帰国後3人が自殺している,という言葉に目が留まりました.余りにも大きな恐怖やストレスの記憶は,生涯にわたって影響を残すわけです.
一人の復員軍人が池のそばの小屋に住みつきます.貧しい隣人やその幼い娘(クリクリ),成功したが充実した日々を失った裕福な老人,ジャズが好きな,仕事をしたことのない老文人を友とする,彼の暮らしを描くフランス映画『クリクリのいた夏』を観ました.藤沢周平原作の映画『秘剣 鬼の爪』,ファンドによる企業再編を劇画調に紹介するNHKドラマ「ハゲタカ」も観ました.
ひどい言葉を吐きながらも祖母を愛した孫娘が,その老婆を助けようとして二人とも焼け死ぬ話「池の端七軒町」や,弱みに付けこむ嫌な男と,腹違いの無垢な妹をだまして,心中と見せて殺した後,自分は嫁入りしようとした娘が,結局,労咳で獄死する話「春桃院門前」(ともに,平岩弓枝『お吉の茶碗 御宿かわせみ二十』)を読みました.
すべての話は「人」のさまざまな生き方,その可能性(制約や限界)を示します.まるで,・・・サルトルだな,と思いました
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