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IPEの風 4/9/2007
日曜日は,地方選挙に参加しました.ほとんど選挙運動らしい声や姿も見ないまま投票日が来たことに,納得行かない気分でした.
・・・小学校で.まず,知事の投票? 誰だ,これ? 名前と無所属だけ.判断できない.つまり,一方は女性だから入れてみよう.次に,奈良県議会議員? 誰が誰なのか? 分からない.そう言えば,数日前に候補者の写真と公約が一覧表で広報に載った.ともかく一人,書く.何年も前の選挙で,街頭演説が気に入った人です.しかし翌朝,二人とも落選. ・・・もっと選挙のやり方を工夫してほしいです.
月曜日,NHKクローズアップ現代で,インドシナ半島のハイウェー建設が紹介されていました.メコン川の水上輸送も注目されていましたが,中国と東南アジア,そしてインドが直接に高速道路で結びつくことで,貿易や投資の可能性は一気に拡大する,というわけです.
白石隆氏が,数年前までは,すべての国で日本が第一の貿易相手であり,援助供与国であったが,今ではタイを除いて,すべての国で中国が第一の貿易相手国だ,と指摘しました.国ごとではなく,面で捉えよ.それは地域協力や市場統合を支援せよ,ということでしょう.
中国・雲南省からタイまで,南北のハイウェーを建設する資金を援助したのは中国です.他方,インドからベトナムまで,東西のハイウェーを建設した資金は,ADB(アジア開発銀行)を介して,日本が提供しました.東南アジアでも,中国と日本の覇権争いは激しくなり,各国は地域協力と,中国と日本との間で勢力均衡を図ります.ハイウェーから通貨まで,共通の制度やルールに投資し,さらには社会的・文化的な融和を図ってほしいです.
The Economist, March 24th 2007 にある “Lexington: American idiocracy” では,インドからアメリカに移民した家族の葛藤を描いた映画 “The Namesake” が紹介されています.若い女性がニューヨークに住むインド人男性Ashoke Ganguliと見合い結婚します.夫はPh.Dを取るために大学へ向かい,妻はアパートに一人残って,コーンフレークに戸惑います.何だ,これは? そして,カレー粉とピーナツをかけます.
テーマは重層します.移民たちがいかに優秀で,アメリカの大学の化学や技術分野の成果を高めているか.アメリカのシリコン・バレーは彼らに依存しています.しかし,テロと非合法移民で紛糾するアメリカ議会は,移民を排除することに熱心です.H1Bビザの発行数は激減し,移民たちは苦しめられています.他方,世界中で優秀な移民を求める競争が過熱しています.オーストラリア,カナダ,イギリス,ドイツ,そしてフランスまで,熱心にハイテク移民を勧誘します.もちろん,急速に成長し始めたインドや中国のハイテク部門の熱意はさらに強烈です.
同時に,移民は一人ひとりにとって厳しい生活変化です.余りにも激しい変化に,しばしば,アイデンティティを失います.Ashokeの息子はイェール大学で建築を学び,完璧・裕福なアメリカ人で,有力なコネを持つ,マンハッタンに愛する家族が住む,金髪・青い目の白人ガールフレンドがいます.ますますアメリカのポップ・カルチャーに染まる子供たちを寂しく感じていた父が死んでから,息子はベンガルに至る自分のルーツを再発見します.そして母はカルカッタに帰り,これまで25年間も懐かしく想っていたインドで,これから25年間もアメリカを懐かしいと感じます.
選挙,ハイウェー建設への援助・融資,貿易・投資,そして,移民.
ある最近の歴史を思い出しました.西ドイツ政府が疲弊する東ドイツを吸収・併合したとき,東ドイツ通貨を(市場の実勢を無視して)同一価値として政治的に交換し,他方,多くの失業者が西ドイツに流入するのを恐れて莫大な財政移転を行い,西に向かう移民を阻止しようとしました.
The Economistの記事は,アメリカに警告します.移民たちのいないアメリカには,優れた大学も,発展するハイテク分野も,ニューヨークの国際金融センターだって無いだろう,と.
今朝のニュースは,石原慎太郎・東京都知事の笑顔と毒舌で,始まりした.
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