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IPEの風 5/21/2007

<地方が衰退するのも仕方ない・地方を救済するための公共投資は無駄遣い> vs <東京は儲け過ぎ・身勝手だ>の論争をNHKが演出していました.これは二重にも三重にもイデオロギーによって屈折した論争,ブレアなら「間違った二元論」として切り捨てた問題提起ではないか,と思います.人類の半分以上が都市に住む,というThe Economistの特集記事から,スラムの匂いと都市化し続ける世界の病理とロジックを学ぶ方が有益です.

まるで,じゃんけんのように,アメリカは市場(資本,穀物,技術),中国は工場,ロシアはエネルギーを握っています.さて,勝つのはどこでしょうか?

あなたが突然,(15000万年ぶりに,カリフォルニアの海岸線をドライブするためやって来た)宇宙人に会ったら,こんな話を聞くでしょう.

・・・アメリカと中国が組んで,エネルギーに対する消費国の連携を画策するだろうな.ロシアのエネルギー帝国主義を封じ込め,世界の政治体制が,多分,緩やかな民主化するのを支持するかな.とはいえ,かつてOPECに対抗することができなかったように,消費国が連携することは難しそうだ.

・・・すると,逆に中国とロシアが組んで,アメリカに代わる市場を自分たちで組織するだろうな.この方が政治的にも実現可能性が高いかも知れない.しかし政治体制は独裁を強めるに違いない.さらに長期的に見れば,経済が次第に衰退するという不安がある.その前に,社会的な不平等化がとんでもなく進み,一気に政治的危機が噴出するとしたら,これも酷い話だな.

つまり,宇宙人の考えた答は「ロシアとアメリカが組みそうだ」というわけです.そのためには,中国の工場に対する依存を減らす手段として世界貿易を管理するでしょう.政治体制としては(立派なこととは言えませんが,すでにそうであるように),互いに対する干渉を排除する,ということに合意します.世界を影響圏に分割し,軍事介入や市場分割,情報操作などで,その変更を認めません.こういうわけで,「反グローバリゼーション」や「新しい冷戦」というのは,ロシアとアメリカの再工業化,軍備拡大競争を意味するのです.

もちろん,中国は黙っていないでしょう.秩序は誕生するより死滅する方が容易です.世界の工場を無視して,新しい秩序など作れるはずがない,と言われて,ロシアもアメリカも大幅に譲歩します.中国の唱える「新しい自由主義」が21世紀の覇権をもたらすかも知れません.そして,要するに,じゃんけんが続くわけです.

宇宙人は,組み合わせを変えるだけでは答が出ないので(プール・サイドでアイスクリームを食べながら)他の要因に注目して質問し始めます.

EU,日本,・・・ こういう政治集団もあるが,彼らはどう動くのか? 彼らはどこに自分たちの脆弱さがあると心配しているのか?

インド,ラテンアメリカ,・・・ 新興のパワーや思想がバランスを変えることは良くあるわけだが,他の地域で何か社会を変えるほどの新しい動きはないか?

中東,アフリカ,・・・ むしろ戦乱や略奪に沈んでいる広範な地域に安定した平和が訪れたら,まったく違う勢力が台頭するのではないか?

気候変動,・・・ 新エネルギー,新技術,・・・ 世界企業,国際機関,コミュニティー,・・・?

(休暇中の)宇宙人から見れば,地球は余りにも小さく,そこで(宇宙人には,そっくり同じに見える)人類が部族間で領邦の壁を築き,戦争を繰り返しつつ連携や分断化を試みる・・・ 何と原始的な秩序か? 世界人口を100分の1にする<再スタート>ボタンを押すぞ,という狂った指導者が出るようなら,彼の星で好まれた<マイクロ・カクテル>を試してみることです・・・

1000年の冬眠を経て)人類の大きさが100分の1になり,私たちは広大なフロンティアと巨大な生き物に支配される<新・恐竜時代>に目覚めます.眠たくなってベッドに入った宇宙人は想います. ・・・その秩序にふさわしい世界に,戻りなさい.もう一度.

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