******************************

IPEの風 7/16/2007

先日,テレビで『魔女の宅急便』を観ました.何度も観たはずですが,いつ観ても楽しく,末っ子が喜んで観ているのがまた楽しいです.背景に描かれた草木の細部にまで,作者の創造した生命が宿っているように思えます.

デイヴィッド・L・ロビンズ『戦火の果て』を読み始めました.小説は,第二次世界大戦の最後の数か月を,戦場の兵士として,従軍カメラマンとして,空襲におびえるベルリン・フィルの女性チェロ奏者として,あるいは,ルーズベルト,チャーチル,スターリンとして体験します.彼らの戦争と,その後の秩序を考えます.

選挙戦は低調です.民主党や社民党が鮮明なビジョンを打ち出せないからでしょう.政治指導者は,どのようにして平和と繁栄を実現するのか,常に新しい条件や難しい問題を率先して取り上げ,国民の要求を鋭敏に感じ取って,言葉で表現しなければなりません.日本の政治家に欠けているのは,そのような感性の輝き,国民のために社会の在り方を変えたいという真摯な構想力ではないか,と思います.

EUの移民政策を紹介・整理して,その指針を示した研究 (Managing Integration: The European Union’s Responsibilities towards Immigrants) を読んでいます.小さいけれど,とても優れた本です.EUが移民に関して示した深い理解,移民たちを統合するための制度の探求に比べて,日本が移民・難民を排斥し,利用し,虐待する姿勢は,国際社会において日本への非難と不信を生む源の一つです.

藤沢周平の『驟り雨』を読みました.社会の底辺で苦しむ弱者の浮き沈みと,彼らがたがいに救済を与えることのできる瞬間が描かれます.同じ長屋の女に,亭主の博打でできた借金を支払う金を与えてやったけれど,自分は草鞋も脱げないまま,床に身を丸めて死んでいく男がいます.親方の出戻り娘になびく男は,結局,足の不自由な妻を捨て切れません.雨宿りのため神社の軒先に入った盗人が,病気の女と幼い娘の窮状を知って盗みを忘れ,二人を助けてしまいます.

民主党は,小沢代表の何が政治的優位か,それを国民に示せないままです.こう考えてはどうでしょうか.それは,田中,竹下,金丸,などから実地に学んだ自民党支配の裏も表も,自分はすべて知っている,という「抑止(牽制・封印)力」である,と.あなたが代表である以上,自民党は権力を維持するために汚い戦争を仕掛けたり,支配される側の抵抗や理想を舞台裏で押し殺したりできない,と宣言することです.政権政党の不正義を封じ込めることがあなたの使命です.

古い体質の政治家たちがどのような悪を国民になしてきたか,野党に移った小沢氏がそれをやめさせてください.自分がこうした転換を支持し,若い政治家たちの自由を保障する役割を担うと明言し,そのように行動するなら,あなたを支持しましょう.全体を構想し,ばらばらな民主党の中から,国民に訴える力のある若手を発掘してください.民主党内の古い派閥政治も真っ先に破壊します.

次の政権は,戦争のさまざまな記念日にアジア諸国へ政府代表を送って,彼らに与えた苦しみや悲しみに対する謝罪の気持ちを伝えてはどうでしょうか? 朝鮮半島統一や台湾海峡の安定化に貢献し,中国の国際的役割を積極的に支持する.そして,アジアの安全保障を共有する枠組みについて,積極的に構想を分かち合ってはどうでしょうか? 安倍政権が退陣するというのは,そのような選択肢を日本が示せる,ということです.

秋に出る私の本は,『グローバリゼーションを生きる:国際政治経済学と想像力』(萌書房)です.このエッセーから生まれた,少し変わった本です.どうか書店で手に取ってください.そして,もし気に入ったら買ってほしいです.

******************************